和装とは?【種類・帯・技法を解説】
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和装とは?
- 着物の種類とそれぞれの特徴を知りたい
- 着物の季節での着分けを詳しく知りたい
- 帯についての基本的なことを知りたい
- 着物に使われる技法について知りたい
和装って奥が深くて難しい…そう思っていませんか?
確かにそうかもしれません。
ただ、着て楽しむのが『和装』の真骨頂です。
必要最低限の知識があればいいんです。
この記事は、当社が某着物専門店で行っている『着物ゼミナール』の資料として作成・講義している内容です。
和装の基本知識として活用して頂きたく、ここにまとめさせて頂きました。
☆この記事を書いた人☆
和装プロデューサー、山本丈之。
古都京都に生まれ、幼少期より日本古美術文化に触れ、その美的感性を磨く。
家業の悉皆業を通じ、伝統と革新の融合した和装ブランドの確立に興味を抱く。
2004年、本格的にプロデューサーとしてのキャリアを構築し始める。
2010年、「作品を通しすべての人々の人生の一部になれる様に貢献していきたい」という想いを込め、古典柄から現代の斬新なテイストを幅広く取りそろえる和装デザイナーズブランド「想創蒼」のプロデュースを開始。
記事の内容
- 和装の種類・特徴・用途を写真で解説
- 帯の種類・工程・柄の配置を解説
- 江戸小紋の歴史・工程・TPOを解説
当社は、和装のメーカーであり、様々な和装のアイテムを扱っています。
和装の知識とものづくりの奥深さを感じていただく内容になります。
和装とは?【着物の種類・特徴・用途】
着物は『染めの着物(後染め)』と『織りの着物(先染め)』に区別できます。
後染めは白生地の上に様々な技法を使って模様を描いてでき上がる着物で、先染めは糸を(これまた様々な技法で)染めて織って柄を描く着物です。
それぞれの特徴を把握することで、着物の種類がわかってきます。
染めの着物の種類・特徴・用途
染めの着物は『縮緬(ちりめん)』や『綸子(りんず)』『羽二重(はぶたえ)』などの生地を用いて作り出します。
有名な生地の産地
京都の『丹後ちりめん』、滋賀の『浜ちりめん』、綸子や羽二重などは新潟が産地のものが有名です。
染めの着物の種類『黒紋付』
染めの着物の種類を写真でまとめます。
喪服
着物の第一礼装、黒一色の無地であり、染め抜き日向紋を五つ紋でつける。
第一礼装なので、おめでたい席でも着れる着物ではあるが、現在は不祝儀での用途がほとんどである。
染めの着物の種類『黒留袖』
留袖
既婚の女性の第一礼装、裾に絵羽柄があり、染め抜き日向紋を五つ紋で入れる。
結婚式や披露宴で親族の女性(主に母親)が着るのが、主な用途である。
染めの着物の種類『振袖』
振袖
未婚の女性の第一礼装、全体的に豪華な絵羽柄であり、長い袖が最大の特徴。
成人式などの式事に着られるフォーマルの着物である。
染めの着物の種類『訪問着』
訪問着
年齢・既婚・未婚の区別なく着る略礼装、色目や柄などを鑑みることで幅広い用途で使える着物。
訪問着を簡略化したものを付下と呼ぶ。
染めの着物の種類『色無地』
色無地
全体的に柄の無い無地の着物、最近は地面柄が多彩なものが主流。
帯次第でどんなシーンでも使える着物であるとされている。
染めの着物の種類『小紋』
小紋
全体的に向きの上下がない総柄の着物。
主にカジュアルシーンに着られる着物である。
織りの着物の種類・特徴・用途
織りの着物は紬やお召などが代表的です。
織りの着物の種類『紬』
日本全国に様々な産地があるのが、この紬です。
中には工芸品的な要素で価値の高い紬もあります。
代表的な紬をご紹介します。
大島紬
全体的に向きの上下がない総柄の着物。
主にカジュアルシーンに着られる着物である。
結城紬
全体的に向きの上下がない総柄の着物。
主にカジュアルシーンに着られる着物である。
牛首紬
全体的に向きの上下がない総柄の着物。
主にカジュアルシーンに着られる着物である。
紹介した『大島紬』『結城紬』『牛首紬』を、代表的な紬ということで、3大紬と言ったりもします。
織りの着物の種類『お召』
お召
かつて将軍が好んでお召になった織物の着物。
そのいわれから、フォーマルの場面でも活用できる着物です。
和装の季節【袷・単衣・夏物】
和装は季節(気温や天候)によって、仕立て方の種類を変えて着用します。
その仕立て方は『袷(あわせ)』『単衣(ひとえ)』『夏物(なつもの)』とあります。
それぞれに対応した季節は、以下の通りです。
和装の季節での仕立て方の種類
1月〜5月=袷の着物(胴裏や八掛などの裏地を合わせて仕立てる)
6月=単衣の着物(裏地をつけずに仕立てる)
7月・8月=夏物の着物(絽や紗などの薄地の素材で仕立てる)
9月=単衣の着物
10月〜12月=袷の着物
上記はあくまでも目安であり、最近は…
- 気候が温暖になっている
- カジュアルでは軽い着やすさが求められている
- 手入れをするのに楽
といった背景によって、『単衣』の期間が長くなっているのが傾向です。
和装とは?【帯についての解説】
まずは、帯の主要な産地を紹介します。
西陣
応仁の乱後に西軍の陣の跡地に職人が移入、多数の技術者で栄え現在に至る。
様々な用途の帯を取り揃える
博多
大陸からの先進技術の玄関口として栄え、独自の技法を継承。
特に献上柄が有名、一般的におしゃれ用の帯が多いとされる。
桐生
気候に恵まれ養蚕が盛んな土地で、織物の産地としても有名。
西の西陣、東の桐生ということで、1000年以上の歴史を誇る。
帯についての解説【種類】
続いては帯の種類について解説します。
帯の種類『丸帯』
最も格調の高い帯。
広幅(一尺八寸一分)で織られた紋織の生地を二つに折って仕立てます。
帯の種類『袋帯』
現在の主流となっている帯。
色柄・素材などによって様々なシーンで使える帯。
帯の種類『名古屋帯』
袋帯より寸法が短く、一重太鼓になる帯。
腹から手先までを二つ折りにして仕立てる、基本的にカジュアルの帯。
帯の種類『袋名古屋帯』
八寸名古屋とも呼ばれる、よりカジュアル感の強い帯。
帯の種類『京袋帯』
袋帯を短く織った帯、カジュアル用途として使う。
帯についての解説【工程】
上記は帯制作の工程になり、その工程の多くが完全分業制になっています。
それらの工程を、その道の職人(プロフェッショナル)が携わり、一つの帯を完成させます。
その制作には、長いもので1年以上かかるものもあります。
帯についての解説【柄位置】
帯をお太鼓で結ぶ場合、柄の出る場所はある程度(帯を締める人の体型によって差がある)決まっています。
全通や六通の帯であれば、お太鼓結び以外の結び方をすることもできます。
和装とは?【江戸小紋についての解説】
着物を始める人にとって、使い勝手のいい着物が『江戸小紋』です。
そんな江戸小紋について、詳しく解説していきます。
江戸小紋についての解説【その発祥と今】
武家の正装には裃(かみしも)が用いられます。
大名はその豪華さを競いましたが、江戸時代にはそれに対して規制が入ります。
そのため、遠目から見ると無地に見えるような柄が使われ、それが江戸小紋の技術の発展につながりました。
現代においても様々な和装シーンで江戸小紋は重宝されています。
江戸小紋についての解説【製作】
江戸小紋の製作工程をご説明します。
- 江戸小紋は型紙を用いて染色を行う
- 型紙には伊勢型紙を使う
- 伊勢型紙は美濃和紙と柿渋を貼り合わせ、燻製と乾燥によって作る
- 伊勢型紙に柄を掘り抜いて、型紙を作る
- 木の板に型を張り、型紙を置いて、糊を置いていく
- 型紙の大きさは約30㎝、約13mの反物では、40〜50回ずらして糊を置いていく
- 糊が置けたら、地染めをし、蒸して色を定着させる
- 検品して完成
江戸小紋の豆知識
型付け三年、糊八年、ヘラ九年でなりかねる。
熟練の江戸小紋の職人になるのには、長い年月がかかるという意味
江戸小紋についての解説【TPO】
江戸小紋は裃の柄であったという『いわれ』から格調が高く、帯次第でフォーマルシーンでも着用できます。
場面を選ばない色柄なので、幅広い席で着用できる便利な着物です。
小紋五役と呼ばれる江戸小紋は、その中でも格調が高いとされています。
終わりに
和装の世界をご堪能いただけたでしょうか?
知識が深まれば、和装の楽しみ方が変わります。
今回の内容を網羅した上で、もっと和装を愛してみて下さい。
今後もこういった発信を続けていきますので、よろしくお願いします。
和装プロデューサー
デザイナーズブランド『想創蒼』代表 山本丈之